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のん木草・みどり見て歩き

11月21日 バラの花弁に付く水滴

7年間実施してきました「かわさき市民アカデミーみどり学Ⅱワークショップ」の野外授業最終回は、運営世話人主催の観察会で、神代植物公園で行われました。最近5年間のテーマは、「植物の不思議発見」で、植物の種類名を覚えるよりも、植物の個性、特徴を発見することを主眼としてきました。この日は、前日午後が雨降りでしたが、雨上りの快晴となりました。10時から観察会を始めて、日頃あまり見ない針葉樹(イヌマキ、ヒマラヤシーダー雄花序、コウヨウザン、ナンヨウスギ、ナギ、ダイオウショウなど)の葉っぱを観察し、ダリア、サザンカ、ツバキの花などを見て、咲き残っているバラ園に入りました。園芸バラの交配親となった原種バラのコウシンバラの説明を運営世話人から聞きながら見た時点で、11時15分になり、バラ園内の観察は、受講生が30分ほど自由行動で見て回ることになりました。見て回った時に、疑問に思ったことは、午後の出発時に、質問してもらうことにし、野外サポーターの私も、バラの花の写真を撮ったり、香りを嗅いだりして、観察会では初めて自由に見させていただきました。

バラの花の大多数には、前日の雨の水滴は付いていなくて、写真はきれいに撮れましたが、一部のバラには水滴が残っていました。今まで、このように水滴が付いているバラを撮影したことがなかったなと思いながら、取りあえず、写真だけを撮影しておきました。
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帰宅後、写真整理をしていた時に、最初は、バラの花弁から香油を採集することは知っていましたので、花弁には脂質が多く、油が水をはじいているものと考えていました。そのうちに、花弁の下側に付いている水滴は、「何故、花弁に付いたままで、下に落ちないのだろうか」とはっと気が付き、不思議に思いました。これぞ、植物の不思議発見だと、それから調べてみました。

今年の6月のみどり学Ⅱワークショップ教室授業で、ハスの葉の撥水(ロータス)効果について、採り上げましたので、最初は、同じような撥水効果ではないかと調べてみました。ところが、少し違っていることが判りました。ハスの葉の表面には、小さな突起物があり、突起物の間に空気層ができて、撥水するだけの構造となっていますが、バラの花弁の表面は空気層と水が浸潤するデコボコ構造が共存しているため、このような撥水性と親水性の現象が起きるとのことです。このバラの現象のことを、ペタル(バラの花弁)効果と言うそうです。

撥水(ロータス)効果は、建築物の外壁や自動車のボデイ塗料に利用されていますが、ペタル効果は、上下逆さまにしても水滴が落ちない不織布の表面に利用されようとしているそうです。

最後の野外観察会で、私自身も、良い「植物の不思議発見」が出来て、嬉しくなりましたし、参加された受講生の参考になればと考え、ブログに掲載させていただきました。

なお、私の持論でありますが、植物観察は、植物の名前を覚えるよりも、このような不思議発見をするように、無邪気に「なぜ?なぜ?」の姿勢で見て回るのが良いと思っている次第です。
以上
by midori7614 | 2014-11-25 06:54 | 関東のみどり
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