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のん木草・みどり見て歩き

ロウバイ花実(花見?)

昨日元旦に、「覗る→観る→診る」を意識し、なるべく詳しく観察し、推測やら考察した事柄を、なるべく多く掲載したい・・・・・と書きました。この掲載をするのには、かなり時間を必要とします。ロウバイが9年目に開花した苦労と同じように、のん木草(ノンキソウ)ものんびり、のんきに暮らしているように見えるでしょうが、61歳からの手習いで始めた「みどり学(植物をキーワードに自然現象を学ぶ)」です。それなりに苦労した「苦(9)節10年」で、自学自習で集めた知識と撮影した写真がかなり貯まってきました。これらを活用して、かわさき市民アカデミーのみどり学Ⅱワークショップの授業で、「旬のみどり観察ポイント」をパワーポイント使用で、昨年より紹介させていただいています。みどり学受講生のお役に立てればと願って、この手法をブログにも活用してみたいと思っている次第です。また、ブログに掲載した内容で、次回以降のみどり学Ⅱワークショップの次回以降のパワーポイント教材を作成することも考えています。2頭追うものは1頭も得ずとならないように注意しながらも、お正月休みは、欲張ってスタートしてみたいと思っています。

本日のお題を「ロウバイ花実(花見?)」としてみました。植物は子孫を残す果実作りが目的であり、花はその途中段階の有性生殖器官です。従って、花を見る場合には、どのような実へ変化していくのかを意識して観る必要があると思いましたので、このネーミングにして見ました。

さて、日頃の観察では、花を取ったり、枝を折ったりはしませんが、自宅のロウバイですので、花を取り、十分に観察する機会を得ました。

花びらは蝋梅の漢名のように半透明でロウのような質感があります。萼と花びらの区別が不明瞭で、鱗片がつぼみを覆っているようです。萼は褐色ですが、鱗片は開花時に内側のものが伸びて大きくなり、伸びた部分は黄色になります。狭義のロウバイは内側の花びらが小形で暗紫色です。(なお、香りの良いソシンロウバイは内側の花弁まで黄色です。)

開花した花。
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花の横側と裏側を観察しました。
茶色の小さな萼片によって、しっかりと黄色い花びらが押さえつけられています。花びらは渦巻状、らせん状についています。
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開花している部分を少し広げて、オシベとメシベの様子を写してみました。
5本(図鑑では5~6本)のオシベの先端に、葯が側着しています。中央の1本のメシベの先端には白いひも状の柱頭が多数見られます。この多数の柱頭の数だけ、メシベの基部に子房が存在している筈です。図鑑では「メシベはつぼ型の花床の中に多数つく」と書かれています。
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雌性先熟であり、まずは他の株からの花粉を受け入れ、その後に自分のオシベがメシベにひっついて受精する仕組みのようです。冬から早春にかけて、虫の少ない季節に咲く植物なので受精を確実にしているのであろうかと思われます。
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沢山ある花びらをらせん状に順次剥ぎ取って見ました。
大小の花被片があり、十数枚~二十数枚まで、ばらつきがあります。図鑑では「花被片は多数らせん状につく。内側の花被片は小さくて暗褐色、外側の花被片は黄色で光沢がある。」と書かれている。
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花被片を除いた残りは、オシベ、メシベ、花床の部分です。メシベの子房は花床の中に埋め込まれているようで、はっきり確認できません。
雌性先熟の雌性期のオシベ、メシベ
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雌性期が終わりオシベがメシベに側着している自家授粉のオシベ、メシベ
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そこで、まだ開花していないつぼみを縦割りにカットして、メシベの様子を見て見ました。メシベの子房のふくらみは花床(茎の先端部分)の中に存在することがはっきり判ります。
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ここで、昨日見たロウバイの実を再確認してみましょう。
偽果と言われ、蓑虫みたいな殻(花床)の中に、数個~十数個のゴキブリの卵を連想させる果実が入っていましたね。
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植物用語を見ると、偽果とは萼筒や花床が変化したもので、中に子房が変化した果実が入っているとか書かれています。従って、蓑虫みたいな殻は花床が変化した偽果であり、ゴキブリの卵を連想させるものは、種子でなく子房が変化した果実であることが判りますね。
そして、種子は見えませんが、果実の中に胚珠が変化したものがある筈です。

バラの実も、形態は少し違いますが、萼筒が変化した偽果で、その中に数個の果実が入っていますので、ロウバイのメシベの子房や実の構造に似ています。

本日はここまでとし、明日は、ロウバイの不思議について、観察をまとめてみたいと思います。
以上
by midori7614 | 2012-01-02 08:59 | 身近なみどり
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