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のん木草・みどり見て歩き

3月27日 片倉城跡公園見て歩き

かわさき市民アカデミーみどり学受講生有志で作っているサークル「みどり葉っぱ会」の見て歩き行事で、カタクリが自生している片倉城跡公園へ行ってきました。
行程は次の通りでした。片倉駅→(300m・徒歩6分)→片倉城跡公園(園内散策~昼食~片倉つどいの森散策往復~園内散策)→片倉駅。

今年の3月は例年よりも暖かい日が多く、桜のソメイヨシノも例年よりも3日ほど早く開花宣言をされた状況でしたので、カタクリは見ごろに咲いていました。
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10 cm程の花茎を伸ばし、薄紫から桃色の花を先端に一つ下向きに咲かせる。日差しがない寒い日は終日花が閉じたまま、下向きに、じっと耐えて、天候の好転を待つ。日中に花に日が当たると、花被片が開き反り返る。花の開閉は温度反応で、花の表面温度が17~20度に達すると全開になる。これは、花粉媒介昆虫:ギフチョウ、マルハナバチが、17~20度になると現れるので、その時期にあわせて開花すると考えられる。
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花茎の下部に通常2枚の葉があり、幅2.5-6.5 cm程の長楕円形の葉には暗紫色の模様がある。暗紫色の模様の持つ生理生態的役割は判っていない。
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花被片とオシベは6個。オシベは長短3本ずつあり、葯は暗紫色。長いオシベの葯は短いものより外側にあり、先に成熟して裂開する。メシベの花柱はわずかに3裂している。
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花の中止部をアップして見る。
蜜標識がW字、オシベ6本(長3、短3)、メシベ1本(柱頭3裂)。(メシベは3個が合着したもので、ユリ科特有の3数性の花。)
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オシベ、メシベをアップ。
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春2か月だけ地上部(葉、茎、花など)が見られ、5月末前後に果実が熟して地上部は 姿を消し、翌春まで10か月間、地下に鱗茎、根を残して休眠に入るいわゆる「春植物」です。
早春に斑のはいった特徴ある葉を展開し、可憐な花を咲かせ、初夏には葉を失い、夏眠する。一年間の内、春の2ヶ月しか地上に姿をあらわさないライフサイクルは、落葉広葉樹における生育に良く対応している。落葉広葉樹が葉を展開し始める4月のはじめ頃、光環境はすでに春分の日を過ぎており、随分と太陽高度も上がって日照時間も長い。カタクリは、十分な日照条件と温度が揃った、わずか数週間を中心とした時期に高能率の生産を行っている。
○東京近郊のカタクリ自生地の条件とは、
1.光条件:カタクリの葉の展開期、日照を得て光合成できる落葉広葉樹林(雑木林)の林床
2.温 度 :カタクリの休眠期、落葉広葉樹林の林冠がおおわれ、林外より涼しく保たれる。更に、北斜面は、「夏、日が当らず涼しい」。
3.水環境:「沖積錐の上では、上部の谷筋から水分がつねに供給されて、夏には水分が蒸発して気化熱を奪うため、地温が高くならない」。
まとめ: 1)北斜面、2)雑木林の林床、3)沖積錐のなだらかな斜面
まさに、片倉城跡公園のカタクリが咲いている斜面は、この3条件を満たしていました。
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園内の石垣に、孤独に咲くカタクリ一株。何故、ここに咲いたかというとアリが種子をここに移動させたからで、その原因はカタクリの種子に付くエライオソームのせいである。カタクリの種子にはアリが好む薄黄色のエライオソームという物質が付いており、アリに拾われることによって生育地を広げている(同様の例はスミレなどにも見られる)。
カタクリの種子に付着しているエライオソームには脂肪酸や高級炭水化物などが大量に含まれる。アリがこの成分に誘発され、種子はアリの巣がある遠くまで運ばれる。
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種子から1年目に発芽したヒョロヒョロの子葉。
ご参考に、カタクリの生活史を記載しておきましょう。
①発芽1年目の個体は細い糸状の葉を出す。
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②2年目から7-8年程度までは卵状楕円形の1枚の葉だけで過ごし、鱗茎が大きくなり、2枚目の葉が出てから花をつける。
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③毎年少しずつ鱗茎に養分が蓄積され、発芽から開花までには7-8年を要する。
④開花初期は開花と結実がある有性生殖と結実がない無性生殖を繰り返す。
⑤個体が大きく成長した後は複数年に渡り開花が継続する。
⑥カタクリの平均寿命は20年ほどと推定されている。
なお、鱗茎は毎年更新し、なおかつ旧鱗茎の下に鱗茎が作られるため鱗茎は深くなる。原則として鱗茎は分球することはない。通常栄養繁殖を行わない。

カタクリ以外に見られたもの。(説明は省略させていただきます。)
ニリンソウ。
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アズマイチゲ。
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アブラチャン。
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キブシ。
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ヒュウガミズキ。
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ボケ。
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ヤエベニシダレ。
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ニワウメ。
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以上
by midori7614 | 2015-03-30 18:35 | 関東のみどり
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