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のん木草・みどり見て歩き

ハリエンジュ(別名:ニセアカシア)

只今、皆さんとご一緒に出かけた見て歩きの写真はありませんので、あちこちで撮影した過去の写真を使用して、ハリエンジュ(別名:ニセアカシア)を掲載させていただきます。

府中の浅間山、よこはま動物園ズーラシア、生田緑地、東高根森林公園などで、白い花が目立つ花です。
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新枝の脇から花穂を長く伸ばして白色の蝶形花を多数つけて垂れ下る。
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マメ科の植物には、蝶の形に似た蝶形花をもつものがたいへん多い。蝶形花の名前は、あたかも蝶のような形を、5つの花弁がつくることに因んでいます。蝶の頭の部分と思しき位置にある花弁は旗弁で、2対の羽根のように見えるのが翼弁と龍骨弁と呼ばれます。旗弁は1個で、真正面から見ると、花の上方に他の花弁と向き合うようについています。
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花をいただいて詳細に見てみました。
花の裏側から。茶色が萼、白っぽい旗弁だけが見えます。旗弁の中央にはネクターガイド(蜜への道標)が透けて見えます。
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花の正面から。旗弁の中央にネクターガイド(蜜への道標)、下の白い花弁は左右に翼弁、その内側に合着している竜骨弁、更によく見ると、竜骨弁の先端からメシベが飛び出しています。
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横からも見てみました。右の立っているのが旗弁、下の手前・右が翼弁、下の中央・左が2枚が合着している竜骨弁です。竜骨弁の中に透けて見えているのが束状になっているオシベとメシベです。
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手前の翼弁を1枚はずし、竜骨弁を下げて、束状になっているオシベとメシベを見せてもらいました。(言い換えれば、オシベとメシベは束状となり、下側で合着する2個の龍骨弁の中に納まっている。その左右の龍骨弁の外側に位置するのが翼弁である。)
蝶形花をもつ植物では、花にやって来た昆虫などは雌雄蕊のつけ根に貯められた蜜を吸うため翼弁に脚をかけ、旗弁の基部めがけて口吻を突っ込む。そのとき脚に力が加わるので、翼弁は押し下げられ、これに連動するかたちで龍骨弁も下方に下がるので、雌雄蕊の束は剥き出し状態になり、昆虫の腹に接触する。そのとき、雌しべは花粉をもらい、雄しべは他の花へ花粉の輸送を託すという仕組みです。
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旗弁、翼弁、竜骨弁、束状になっているオシベとメシベ、萼を分解して、並べてみました。
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旗弁だけをアップして見ました。淡い黄色のネクターガイドを目指して、昆虫が集まる仕組です。昆虫が、どこに口吻を差し込んだらよいかの目印として、旗弁の基部には黄色の斑点が用意されているのです。
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束状になっているオシベとメシベをアップして見てみました。薄い緑色の1本がメシベ、薄い茶色の花粉と白い花糸がオシベ10本、メシベとオシベの基部を包みこんでいる茶色のものが萼です。束状になっているオシベ10本のうち、1本だけが合着されずに、独立していて、メシベの花柱との間に隙間を作っています。昆虫が口吻を突き込みやすいようになっています。巧妙な仕組みに驚かされます。
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今回、ハリエンジュについて、調べたことも、ご参考として、少し記載しておきます。

①ハリエンジュは、明治10年ころに渡来したといわれ、砂防用に海辺などに植栽されたが、各地に野生化しています。河川などにはびこり、なかなか退治することができず、外来有害植物に指定されています。

②開花期の5月ころに、白い芳香のある花、つぼみを採取して、てんぷらにして食べるます。
また、熱湯でかるく茹でて、酢の物、和え物にして山菜として食べます。花、つぼみは山菜として食用にできますが、葉、樹皮、豆果、種子は有毒として食べないようにしましょう。

③日本では単にアカシアと呼ばれることがあります。これはハリエンジュの英名であるFalse acaciaや Locust acaciaによるものと考えられますが、本来のアカシア(アカシア属Acacia)はサバンナのような乾燥地に生え、たくさんのオシベをもち、しかも花弁がオシベよりも小さいなど、ハリエンジュ(別名:ニセアカシア)とはまったく別物の植物です。
アカシア蜜として、売られている蜂蜜はハリエンジュ(別名:ニセアカシア)の蜂蜜ですから、正確に言えば、ハリエンジュ蜜とかニセアカシア蜜というべきでしょうが、この名前ではあまり売れそうもないですね。
以上
by midori7614 | 2013-05-21 18:20 | 身近なみどり
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