のん木草・みどり見て歩き

3月29日 川崎・緑ヶ丘霊園の桜

緑ヶ丘霊園は、川崎市にある、計画面積約59ヘクタールの墓園(都市公園)です。
多摩丘陵最東端の一角に位置し、多摩川流域の平坦な扇状地に隣接する、標高 45m 前後の小高い丘陵地です。
1940(昭和15)年に川崎市が公営墓地として都市計画決定し、1943(昭和18)年10月01日に開園。以降、都市開発が規制され、市民霊園および緑地保全を目的に整備されています。
1953(昭和28)年千葉県より運ばれたソメイヨシノの苗木が園内に並木状に植えられました。従って、60年前に植えられた苗木がどの程度の樹齢のものであったかは判りませんが、当時の樹齢を5~10年の苗木と推測すると、現在の樹齢は65~70年の樹齢のソメイヨシだと推測されます。ソメイヨシノの寿命は俗に人間と同じといいますので、ここのソメイヨシノは、私と同じように、かなりの高齢者ですね。

さて、今年は、3月21日のほぼ満開の時にも、お花見に来ていましたが、その時は大混雑でしたので、改めて、29日の朝、まだ人出の少ない時間帯に、お花見を楽しみました。
久地駅から緑ヶ丘霊園北口から尾根道へ上りました。
e0145782_6273869.jpg

かなり花びらが散り始めていました。
e0145782_6282649.jpg

でも、尾根近くはそれほど散っていなくて見ごろでした。ちょっとした温度差などの環境の違いで、咲き方の状況が違うようです。
e0145782_6181573.jpg

ここで、桜並木の木の高さが剪定されてなくとも、同じ高さになっていることに気が付きました。
常緑樹では、よくこの現象が起こっていることは知っていましたが、落葉樹でも同じですね。高く伸びれば光合成に有利だが、強風に弱くなるので、どうしようかなのジレンマがお互いの木にあるのでしょうね。隣の木の枝を伸ばす状況を、お互いの木が感知して、お互いが不利にならないように、バランスを取っている様子が判ります。
e0145782_618484.jpg

花が散り際になってくると、花の色も変化してきます。
開花したばかりの花は、白い中に、オシベの花粉の黄色が目立ちます。白く見えるのは、花弁やオシベの中の水が、開花したてでは一番多く増えて、光が水で乱反射して、沢山の光の色を人間の眼が見ているからだと思います。
e0145782_6192088.jpg

散る前になると、オシベの花糸と花弁の基部に赤みが増し、全体として淡紅色となります。開花から次第に、花弁やオシベの中の水が減少して萎むようになり、光が水で乱反射することが少なくなり、花弁やオシベの中にあったアントシアニンのような色素が反射されて、その色を人間の眼が見ているからだと思います。
e0145782_6195785.jpg

沢山花を付けている枝では、一斉に咲くので、このような色の変化の観察は難しいですが、樹勢が弱った木の幹から花を咲かせる胴吹き(別名:彦咲き)の花は、咲く時期がちがうので、いろいろな状態の花が見られて、観察がしやすいです。
e0145782_620287.jpg

e0145782_6205257.jpg

このように、樹勢の弱くなった古木でも、日照条件の良い所では、花を沢山咲かせている大木もあります。総じて、樹勢が弱くなると、自分の木の生長よりも、子孫を残すために花を沢山咲かせ、実を作ろうと努力する傾向があるそうです。最後まで、頑張っている様子がうかがえます。
e0145782_6213191.jpg

ここの古木になったソメイヨシノには、樹勢が弱くなった桜の幹がばかりです。例えば、幹が凸凹になっています。
凹んでいるところは上にあった大枝が折れて、大枝から養分を根へ送っていた形成層部分が死んで生長しなくなったところのようです。一方、凸の部分は、上の大枝が生きていて、その枝の葉で作られた養分を根に送るために、形成層が毎年生長続けている部分のようです。
e0145782_622851.jpg

凹んだところにサルノコシケのような腐朽菌がついている木もあった。
e0145782_6224134.jpg

幹の裂け目に空洞があり、そこに不定根が出ている木もあった。
e0145782_6303280.jpg

凹んでいるところ大きく,多い樹勢の弱い古木には、大枝の落ちた部分や幹の裂け目から、腐朽菌が侵入し、導管部分の心材を腐らせて、幹中央に穴を開けてしまうようです。こうなると、強風に倒されることがあったり、その恐れがあるために、切られてしまいます。
e0145782_6232075.jpg

e0145782_6312020.jpg

何年か前に、12本の木が切られた切り株が残っている。
e0145782_636681.jpg

最近切られた切り株も何故か、同じ12株である。
幹の中央が空洞になっている切り株。これは切られても仕方がなかったと思われる。
e0145782_6364693.jpg

空洞になっていない切り株も4本程度見られた。これは、空洞になっていると誤診されて、早目に切られてしまったのかなと推測した。どうも、前回同様に12本まで切ることのできる予算が取得できたので、予算消化のために早目に切られてしまったのかどうかは、判らない。あくまでも、推論だが、新しい切り株数が前回と同じ12本で、そのうち、まだ切らなくても良かったと思われる切り株があるところから、木の空洞診断よりも、人の都合優先のために、切られたような感じがした。
e0145782_6371925.jpg

樹勢の弱ったソメイヨシノの再生では、青森県弘前公園のリンゴと同じ剪定方法による「古い枝を切り落とし、彦生えの新しい枝を生長させる方式」による100年超のソメイヨシノの管理が有名である。このように、新しい枝はかなり出ているが、その枝を伸ばす方法は、ここでは取られていないように感じた。
e0145782_638422.jpg

こんなことを観察しながら、緑ヶ丘霊園のソメイヨシノを、いつまでも華やかに咲き続けて欲しいと念じながら、眺めてきました。
緑ヶ丘霊園中央の噴水のあるところのパノラマ写真。
e0145782_638493.jpg

津田山駅方面への桜並木。
e0145782_6392848.jpg

e0145782_6395642.jpg

ソメイヨシノばかりだとあきたでしょうから、他の品種を一つ加えておきます。
緑ヶ丘霊園の霊安堂近くに、最近植栽された園芸品種「陽光」です。この桜は、オオシマサクラとエドヒガンを人工交配させて作った「天城吉野」に、更に、カンヒザクラを人工交配させて、人間によって作られた桜です。
e0145782_6403484.jpg

花序のアップ。
e0145782_641072.jpg

以上
by midori7614 | 2013-04-01 06:50 | 身近なみどり
<< 3月29日 東高根森林公園の桜 3月26日 調布野草園の花 >>