のん木草・みどり見て歩き

ヤマトリカブト

本日は、私が今年度会長を引き受けている山の会の9月定例山行日でしたが、昨夜のうちに、天気予報が悪化したので、10日(金)へ延期しました。今朝は、山行の予定がなくなりましたので、東高根森林公園まで、足を伸ばして、見て歩きをしてきました。新たに、咲き始めた花は、ツリフネソウです。以前から見られる花では、ボタンクサギ、ヤブミョウガ、カリガネソウ、キツネノマゴ、ワレモコウ、キンミズヒキ、シュウカイドウ、ワスレナグサなども咲いていました。

今日のブログには、8月下旬に箱根で、9月2日に御岳山で見られましたヤマトリカブトを取り上げてみます。

ヤマトリカブトはキンポウゲ科で、本州の中部~東北地方にだけ分布するが、北海道から九州まで、さまざまな種類のよく似たトリカブトが分布するので、分類学的なくわしい区別を考えなければ、トリカブトの仲間として、全国で見られる。山の少し湿った草地や林のふちなどに生える。
世界最強といわれる有毒植物である。植物の体全体が有毒で、花粉さえも毒をもっている。この取り扱いには十分注意したい。秋に、鮮やかな青紫色のカブト形の花をたくさんつける。和名は、この花の形を、中国から伝えられた古い音楽つきの踊りである舞楽で頭にかぶる鳥兜にたとえた。
9月御岳山
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花の長さは、3.5~4.5cmくらい。花びらのように見えるのは、じつは、5枚のがく片である。がく片は正面から見ると、星型の位置に並んでいる。上のがく片は、カブト形でもっとも大きく、横のがく片は丸い形、下のがく片は細長い。本当の花びらは、カブトのなかにある2枚の細いひもみたいなもので、横から見ると、カタカナのイの字のようで、一部が細くのびて筒状の距となり、蜜をためている。雄しべはたくさんあり、雌しべは3本である。
9月御岳山
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なお、有毒植物について、もう少し記載しておきましょう。

トリカブトを、茎と葉だけでは見分けるのは大変むずかしい。特に、春、新芽が出たものは、柔らかそうで、ニリンソウなどの山菜と間違えることがあるので、注意が必要である。新芽ももちろん有毒である。よって、この植物は、いかに見分けて、いかに事故をおこさないようにするかが重要である。

有毒な成分は根に多く含まれ、アコニチン、メサコニチンなどのアルカロイドがある。アルカロイドは、植物の体内にあるチッ素を含んだ化合物で、動物の体に薬や毒としてはたらく。まちがって、トリカブトのなかまの根を食べてしまうと、舌がしびれ、やがて全身がしびれて呼吸困難になり、死ぬという。中毒した場合には、黒豆を煮て食べるとよいといい、じっさいにためした人がいた。このときは、食べた量が少なかったのか、何とか無事だったが、こんな実験はやらないほうがよい。ヤマトリカブトはとくに毒性が強く、少しの量でも危険という。花粉がハチミツに混ざると、食べて中毒をおこす恐れがある。

この毒の働きを、逆に利用して、中国では、中国産のトリカブトを古くから薬用に用いてきた。昔は、ニンジンのような太い根を烏頭(ウズ)といい、茎の根もとにある短い地下茎の部分からできるものを附子(ブス)といって、それぞれ薬の効き目がちがうとされた。最近は、そのまま干した根を烏頭、加工した根を附子といっている。他の薬と混ぜて、神経痛、リュウマチ、腹痛、下痢、心臓病などに用いる。体力をつけ元気にする働きがあるが、もともと元気な人には、効きすぎて危険であるという。

一方、有毒成分は動物の体内で化学変化をおこして、のちに無毒になるので、この毒で殺した動物の肉を食べても大丈夫である。これを利用して、北海道のアイヌ族は、毒矢をつくり、狩りに利用した。
以上
by midori7614 | 2010-09-08 17:52 | 身近なみどり
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