のん木草・みどり見て歩き

クズ

連日猛暑が続きますね。明後日8日に、私が今年度会長を引き受けている山の会の9月定例山行がありますので、日中出歩くのを控えて、歩き回るのは、早朝だけにしています。

今日のブログには、早朝に近所で見られた、秋の七草「クズ」を取り上げてみます。

長尾の坂道の崖地に繁茂するクズ。
クズは日本各地および東~東南アジアに分布し、どこでも見られるマメ科のつる性の多年草です。つるは年がたつと太くなり、やや木質化します。クズの生長はすさまじいものがあり、盛夏には1日で1m程も伸びると言われるほど成長し、太い茎を伸ばして繁茂する。ちょっとした低木林ならば、その上を覆い尽くす。木から新しい枝が上に伸びると、それに巻き付いてねじ曲げてしまうこともある。そのため、人工林に於いては、若木の生長を妨げる有害植物と見なされている。
地面を這うつるは、節から根を出し、あちこちに根付き、草地を這い回り、あちこちで根を下ろすので、駆除するのはほとんど不可能に近いので、雑草としては、これほどやっかいなものはないでしょうね。世界の侵略的外来種ワースト100選定種の一つであり、日本から緑化・土壌流失防止用として持ち込んだアメリカでは、現在では、ジャパニーズ・ギャングとして、嫌われているとのことです。
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つると花序のつぼみ。花は葉群の下になって目立たない。
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つると花が咲きだした花序。
花は8 ~ 9月の秋に咲き、つるから穂状花序が立ち上がり、赤紫の豆の花を咲かせます。花は甘い芳香を発していますので、近づくとすぐに判ります。
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咲き始めは、穂状花序の下から咲き始める。
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花穂は下から上へと咲いていき、早く咲いた下の花はしぼんでいく。
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咲いている花の部分をアップしてみました。
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花一つだけにしてみました。
マメ科特有の形・構造で、上方に旗弁1枚が目立ち、下方に翼弁2枚と竜骨弁(または舟弁とも言う)2枚がまとまって1個のように見えます。
正面から。
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やや横から。
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オシベ、メシベが下方の竜骨弁2枚に包まれて、隠されているので、翼弁1枚と竜骨弁1枚を取り除いてみました。10個のオシベが合着していて、頑丈になっています。ハチなどが蜜を吸いに竜骨弁の止まると、その重みで竜骨弁だけが下に下がり、頑丈なオシベが竜骨弁の上にでて、ハチの腹部に花粉を付着させる仕組ですね。
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マメ科特有の3出複葉。小葉と言ってもサイズは大きいです。でも、この3枚のセットで、一つの葉です。
クズは大量の葉を保持しており、水分を大量に消費するに違いない。夏の晴天時には、水分不足に陥るようで、葉をたたむように動かして直射日光を減少させている。中央の葉を右か左にねじり、両側の葉をたたみ込む。葉は白色の裏を日光に向ける状態になり、強すぎる光を反射させている。
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有害植物、侵略的外来種ワースト、ジャパニーズ・ギャングとして嫌われものと書きましたが、これで終わりにしては、短所ばかりを取り上げて、片手落ちですので、人間にとって、有用植物であることもご紹介しておきましょう。

○根を用いて食品の葛粉や漢方薬が作られる。
もともとは救荒食糧として認知されていた。葛粉は良質のデンプンであり、効率よく栄養を摂取するには最適の食材である。
食品の葛粉(くずこ)はクズの根から取れるデンプンを精製することによって作られ、葛切りや葛餅などの原料となる。
葛粉を湯で溶かしたものを葛湯(くずゆ)と言い、熱を加えて溶かしたものは固まると半透明もしくは透明になることから和菓子等の材料として古くから用いられている。

クズの根を干したものを生薬名葛根(かっこん)と呼ぶ。日本薬局方に収録されている生薬である。発汗作用・鎮痛作用があるとされ、漢方方剤の葛根湯、参蘇飲(じんそいん)などの原料になる。
葛粉は薬効を持ち、体を温め血行をよくする為、風邪引き(葛根湯)や胃腸不良の時の民間治療薬として古くから珍重されてきた。近年は健康志向の高まりも手伝って、自然食品や健康食品としてますます注目をあびている。

○蔓は丈夫で、有用であった。
農村では、田畑周辺の育つクズのつるを縛る作業に用いた。
切り取ったつるが乾燥して固くなる前に編むことで、かごなどの生活用品を作ることができる。
つるを煮てから発酵させ、取りだした繊維で編んだ布は葛布(くずふ)と呼ばれる。

○2008年に宮崎大学により、クズ属植物からバイオマスエタノールを抽出する技術が開発された。
以上
by midori7614 | 2010-09-06 17:14 | 身近なみどり
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