本日は、かわさき市民アカデミーみどり学Ⅱの講座とワークショップの日でした。ワークショップの運営世話人代表をしていますので、配布資料の印刷から始まり、授業中の進行役で、何かと多忙に過ごしました。でも、4回連続した授業は年内分を早くも終了し、次回は1月下旬までお休みとなります。何となく、肩の荷がおりたような、ほっとした感じで、有志で、早めの反省会=忘年会をして、帰宅しました。
一昨日4日に、かわさき市民アカデミー学園祭のみどり学Ⅱ主催の野外観察会で、新宿御苑を見て歩きしてきました。今日からのブログに、3回に分けて、掲載します。
本日は、11月1日より15日まで開催されている「皇室ゆかりの菊花壇展」を掲載します。明日は、フランス庭園のバラを、明後日に、野外観察会で説明をしていただいた内容を中心に掲載する予定です。
新宿御苑の菊花壇展について
明治11年から催された、皇室による「菊花拝観」の伝統を受け継ぐ、新宿御苑の菊花壇展は、日本庭園内に上屋(うわや)と呼ばれる建物を設け、さまざまなキクを独自の様式で飾りつけて開催されています。明治から大正にかけて赤坂の仮皇居で催された菊花拝観にゆかりのある展示会で、展示するキクの種類やつくり方、飾りつけの様式などのほとんどがそのまま受け継がれ現代に至っています。菊花壇展に出展するキクは、すべて日本庭園に隣接する菊栽培所で、7人のスタッフで栽培管理を行っています。キクは毎年苗から育てるため、栽培は毎年すべて一から出直すことになります。その年の気候や手のかけ具合、技術、新しい品種の導入などによって、すばらしいできだったり、あまりよくなかったりします。ですから、1年間手をかけたキクがいい花を咲かせれば、それだけ喜びは大きいですね。冬の寒さはそれほど影響がないのですが、夏の暑さはキクの成長にかなりの影響を及ぼします。真夏になって、日よけを1日怠っただけで花の状態が格段に悪くなることもあります。また、キクは夜間の水分で芽が伸びるのですが、日照りの夏では夜露があまり降りません。そこで夕方に葉水を与えますが、自然の露とは違い、茎の伸び具合が悪くなります。今年に関しては案外涼しいので、茎の伸びがよく、8月で例年の9月初旬の高さと同じくらいになったとのことです。
キク栽培は1年を通した作業です。冬には、夏に向けての準備作業がたくさんあります。大づくりに仕立てる大ギクの摘心は12月から始まります。キクの培養土は4割が腐葉土を使用しますが、その腐葉土づくりもマテバシイやスダジイなどの常緑樹の葉を集めて冬場に行います。また、懸崖や大づくりなどに使う台は御苑のオリジナルなので、これらをつくるのも冬場の作業だそうです。
新宿門前に飾られた大作りの菊。
菊花壇展の中央に植栽された菊。
懸崖作り花壇。
野菊が断崖の岩間から垂れ下がって咲いている姿を模して、仕立てられています。
大作りの菊。
1本の大菊から約700個の花が付くように、摘心を繰り返して、仕立てられています。数多くの花を咲かせるのはもちろんのこと、個々の花においても、枝葉や花に遜色なく、全体の花として開花時期が同時で、且つ花容が揃っていなければならない等、栽培方法や仕立て方に高度な技術が必要です。新宿御苑の菊花壇の中の白眉の作品と言われています。
茎が1本であることが判りますね。
大菊花壇。
手まりのような形の大菊を「手綱植え」の技法で、仕立てられています。
江戸菊花壇。
江戸で発達した江戸菊を「篠作り」に、仕立てられています。
肥後菊花壇。
九州で発達した肥後菊を、秀島流の技法で仕立てられています。
伊勢菊。
管状の花が垂れ下がっている菊。
嵯峨菊。
管状の花が伊勢菊とは反対に上に向いています。
丁子菊。
「一六作り」に、仕立てられています。
一文字菊。
舌状の花が垂れ下がらないように、仕立てられています。
管物(くだもの)菊。
管状の花が垂れ下がらないように、仕立てられています。
11月15日までは、月曜日も休園せずに、毎日開催されています。今年の出来栄えをご覧になられては如何でしょうか?
以上